モトスミ周辺案内②「モトスミ・ブレーメン通り商店街」
前回からかなり期間が空いてしまいましたが、今回は「モトスミ・ブレーメン通り商店街」について紹介してみます。
ちなみにブレーメン通りについては以前の記事「高津モトスミ紹介①」で触れているので、若干内容も重なるかもしれません。
さて、東急線元住吉駅を降りてすぐ左、線路の西側から始まるのがブレーメン通り商店街です。
商店街の入口より、4月上旬の19時前後に撮影。
もともとの幅員の狭さ(6m程度)に加えてラッシュ時間帯が重なり、人通りがかなり激しいです。
余談ですが、私は駅までの移動に自転車を利用していますが、ご覧のようにブレーメン通りで自転車を使うのはかなり厳しいので、降りて自転車を引くか、他の広い道を通ります。
(環境に構わず猛スピードで人の間を縫うように走る“暴走自転車”も少なくないのですが…)
■商店街プロフィール
まず気になるのは、この「ブレーメン通り」という言葉の由来でしょう。
そもそも、通りがカタカナで呼ばれることはかなり珍しい事例に感じます。
商店街の公式HPにある年表から調べてみると、もともとはこのあたりは「元住吉駅西口商店街」という普通の名前の商店街だったようで、その源流は1947年の住吉商興会まで遡るとか。
現在の姿になった転機は、1985年に中小企業庁の「コミュニティマート構想事業」のモデル地区に選出されたこと。
要はこのモデル地区に選出されたことで、商店街の改造事業に係る国からの補助金(約5000万円程度?)が受けられるようになったわけです。
その後、以下の表(公式HPより)のように、この商店街に激しい変化が起きている様子がわかります。
「ブレーメン通り」の名称から、1991年にはドイツのブレーメン市のロイドパサージュ商店街と友好提携がなされています。なんとインターナショナル。
ですが、なぜ“ブレーメン”なのか??(モヤモヤは残ります。笑)
(コミュニティ・センター前にあるブレーメンの音楽隊像)
■現在のブレーメン通り
そんなブレーメン通りですが、今では以下のように多くの商店が加盟する、とても長〜〜い商店街になっています。
基本的にブレーメン通り沿いがメインになっているのですが、路地を入ったところにも魅力的なお店がちらほら。
(以上2画像、公式HPより)
よい雰囲気のレストランなど、外食系のお店を中心としつつ、衣料品・婦人服店も多め。
お味噌専門店や精肉店、鮮魚店といった風情のあるお店も気になります。
ですがそのあたりのお店は入る敷居が高いのも事実で、測り売りの精肉店なんかはどうやって買い物をしたらいいのか不安になってしまいます。
その一方で、松屋やTSUTAYA、サンマルクといった全国チェーン系の顔ぶれもたぶんに漏れず一定程度ありますが、利便性や経済性においては不可欠な存在でしょう。
どこの街に言っても、全国同じサービスを提供する松屋や吉野家には物怖じせず入店できますし。笑
■特徴的な取り組み
・コミュニティ・センター
商店街中ほどに、誰でも入れる休憩スペース「コミュニティ・センター」があります。
中では、後述する商店街広報紙「BREaTH」や行政情報に関するチラシが置かれているほか、お手洗いを借りることもできます(これがありがたい)。
時には展示会に使われ、地元アーティストの作品の展示スペースとなっていることも。
驚いたのは、商店街情報を検索できる端末が2台置かれていること。
本当にお金かかってます。笑
普通に歩いていたら通り過ぎてしまうような場所ですが、ここにも建設のエピソードがあるようです。
・ブレカ
商店街のお店全てではないですが、加盟店で使えます。(地図参照)
商店街でポイントカードシステム自体は珍しくないかもしれませんが。
個人的には、さぼてんとかチェーンのお店でも使えるということは結構斬新な気がしています。
・雑誌「BREaTH」
商店街情報誌。季刊で、年4回発行されているようです。
最新は2014はる号。
はる号のコンテンツとしては、
商店街の商品を使ったレシピ紹介や新しい店舗紹介、店主へのインタビュー記事、催事の予告、お店のクーポンなど。
「あ、あの店行ってみようかな」「この店、こんな人がやってるんだな」など、商店街を通るだけの人にとっても、新しい発見があること請け合い。
特徴的なのは、この雑誌の編集作業は商店街関係者だけでやっているのではなくて、
編集のボランティアスタッフとして広く参加を受け入れていることですね。
個人的に、子供も持たない単身者が地域コミュニティに参加できる1つ目のきっかけは、こうした地域活動への参加にあると思っているので、門戸が開かれた状態にあるのはよいなあなんて思ったりします。
・ブレーメン通り都市景観形成地区
都市計画学徒であった身としてはここが少し気になるところ。
2004年に景観法が成立し、都市における良好な景観を守っていくために自治体が法的なルールを定めることができるようになりました。(これまでは景観を阻害する行為を止める法的なルールが不足していた)
自治体は景観形成に関する方針である景観条例を定め、「住民主体で」特に集中的に景観形成を誘導していく「景観形成地区」を指定することができます。
この都市景観形成地区の一つに、ブレーメン通り一体が指定されているわけです。
この都市景観形成地区に指定されると、その景観基準の方針である「都市景観形成方針・基準」を定めることができます。
地区内の建築行為に対しては、そのデザインの基準への適合性を地元協議会と協議し、その後に初めて建築確認等の申請を行なうという流れになります。
こんな感じで、地区の良好な景観が形成されていくというわけです。
景観形成方針の例↓
この方針を策定したことで、実際のブレーメン通りが景観的に確かに良好に維持されているどうかは議論が分かれるところかと思いますが。
地元の環境は地元の力で守っていこうというスタンスは本当に好きなので、素晴らしい取り組みだなあと思います。
いつも通る商店街ということで長くなりました。
見るだけ・通るだけでも十分楽しむことのできる商店街で、「おっ、いい商店街があるなあ」と思わせてくれることは間違いないでしょう。
ただそれだけでなく、商店街を盛り上げる様々な取り組みがあるということを知った上でさらに商店街を眺めてみると、違った味わい方ができるように思います。
本日はこんなところで。