ブレーメン通りと路線バス
神奈川新聞にこんな記事が。
川崎市交通局が、東急東横線元住吉駅前の「モトスミ・ブレーメン通り商店街」(川崎市中原区)などを経由する路線バスの廃止方針を決めた。朝の通勤時間帯に片道限定で商店街を通り抜ける珍しい運行形態で、橋の工事に伴い運休中の11路線。地元では歩行者の安全面を懸念し廃止を要望していた商店街などと、運行再開を求めていた利用者側とで、賛否が分かれる状態に陥っている。
ブレーメン通りを歩くとバス停を見かけるのですが、私が3月に越してきてから商店街を走るバスを見ることは一度もありませんでした。
「毎日ホコ天やるくらいだし、バスの運行は厳しいだろーなあ」くらいに思っていたのですが、今回の記事をきっかけに調べてみたところ、橋梁工事に伴って運休中だったというのが真相のようです。
じゃあかつて走っていた路線は現在どうなっているかと言えば、
ブレーメン通り沿いにあった5停留所が、尻手黒川道路沿いにつけかえられて運行中。
実際に、今回問題になっている路線と、
(代替的に?)現在運行されている路線をマッピングすると、以下のようになります。
(Google Mapより)
従前は駅の目の前に「元住吉駅前」停留所があったのが、現在の最寄り停留所「元住吉」は駅まで徒歩2,3分程度となっています。
少し路線が南にズレたことで、従前の沿道利用者にとっての停留所までのアクセス距離が伸びているようですね。
さて、記事を読むと、当時も商店街を通るのは「始発から午前9時半まで」の時間帯限定だったことがわかります。
ということは、それ以外の時間帯においては現在と同経路(図中の南側路線)で運行していたのかなと推察されます。
車幅の大きなバスが狭い道路を運行する、つまりはリスクをとってでも元住吉駅への速達性を確保する試みは、時間限定の苦肉の対応だったことが伺えます。
それが工事に伴い運休されたと。
しかも、いざ工事が終わったのになかなか運休路線が回復しないということで今回、
利用者「路線を戻さないとは約束が違う」
沿道住民「いやいや、戻したら危ない」
という意見の不一致となっているようです。
『お互い勝手なこと言って』という意見もあるでしょうが、社会がそうした多様なステークホルダーの利害・意見・都合といったものの混在の中で動いていることは事実。これを単なるエゴとして一蹴することはできません。
個人的には行政やバス事業者が単純なイエスマンになるのではなく、利害対立の妥協点を探るための解決アプローチをとることを期待します。
今後の展開に注目です。
ただ、
「商店街を横断して登校する小学生ら、地域住民の安全を守れなくなる」(同商店街関係者)
という主張には少し違和感。いやいや、地域の安全は地域の人間で守っていくべきではないでしょうか。
運行時間帯が登校時間と重なるだけに、児童の安全に神経過敏になるということはもちろん理解できますが、危険要素が完全排除された無リスクの地域環境を求めるのではなく、交通安全に向けた地元活動の活発化につなげていければ、地元の共助関係の強化や共同体への帰属意識の強化に発展し、最終的には住民一人ひとりのQoLの向上となって返ってくるのではないかと思います。