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no pleasure, no life(旧ブログ名:まちづくり、例えばこんなふうに)

意固地になるほどに"まちづくり"が気になって仕方ない。自分の関わったまちづくりの活動・調査の記録を中心にしつつ、"都市""街の変化"の話題など。 Keyword→まちづくり/都市計画/荒川区町屋/蒲郡/豊橋/三河/谷中

谷中を縦断する3街路まちあるき〜①初音の道〜

まずは、”山頂の道””中腹の道””谷底の道”といった表現について簡単に解説します。


 
【谷中】という地名からは、山の手の台地に挟まれた谷底の低地エリアを連想しがちかと思います。
しかし実際の谷中は、
上野の山から北西へ続く細長い高台(上野公園〜谷中霊園〜道灌山)を最高点とし、
西へ向かって傾斜を下り、
藍染川の軌跡(よみせ通り〜へび道)までのきわめて起伏の豊かなエリアを指します。
山頂の尾根筋、傾斜の中腹、そして谷筋には、それぞれ等高線をつないだような3つの街路が存在しており、現在までエリアを縦断する主要街路となっています。
 
 
 
今回は、山頂の道である初音の道について見ていきましょう。
住所としては西日暮里三丁目となりますが、初音の道はここ諏訪神社から始めましょう。
 
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寺町である谷中は仏教寺院が多くあるのは当然ですが、神社神道に基づく氏神様としてはこの諏訪神社のみとなります。
ちなみに根津側には根津神社があります。
 
 
 
諏訪神社前の道を南下すると、すぐ右手に富士見坂が現れます。
 
 
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(夕暮れ時の富士見坂)
 
富士見坂という名を持つ坂は都内にいくつもあったものの、ここ西日暮里の富士見坂は最後まで本当に富士山の見える富士見坂として有名でした。
左手には連続性のある衣装を持つ塀と、石畳風の床舗装の奥に見える富士山は本当に美しかったようで、多くの撮影者がここを訪れたと聞きます。
しかし、不忍通り沿道のマンション開発により、最後の富士見坂からの富士山の眺望は失われてしまいました。
 
景観地区や伝建地区など、エリア指定をすることで意匠を守る制度は我が国においても充実してきた一方で、
①主要幹線道路である不忍通沿いは、土地の高度利用の考え方から容積率制限が緩く、高層建築物が建てられやすいこと、
②ある特定のビューポイントからの眺望権というような規制が存在しないこと(フランスなどでは既にあったはず)、
荒川区・文京区にわたる地区であり、自治体をまたぐ調整が困難なこと、
こうした背景で、住民側の積極的な活動にもかかわらず、マンション開発は実現されたと聞きます。
 
このあたりの経緯は、こちらに詳しいです。
 
 
 
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富士見坂を過ぎた後の街並みは、敷地の比較的大きな古いものと、敷地分割によるミニ戸建が混じったものになります。
駐車場が歯抜け的に現れ、連続的な街並みというものはきわめて限定的です。
 
ちなみに、道の両脇に黄・青・白の模様のようなものがありますが、これはイメージハンプといい、路面に凹凸や狭窄があるように見せることで自動車の速度上昇を抑えるためのものです。
なんでも初音の道の荒川区部分は、かつて交通安全系の補助金を入れているのだとか。
 
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明らかに50年以上は経過していると思われる2階建長屋が出現。
趣レベルは最高点。。。なものの、傾いてる?
 
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(谷中銀座に降りる道。中央のデルタ地帯には都市計画道路の計画線がかかっており、建物が密集している)
 
しばらく進むと、日暮里駅から谷中銀座に通じる道と交差します。
この道の中央に行政界があり、台東区谷中へと踏み入れることになります。
初音の道はまだまだ続きます。
 
 
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台東区に入るとすぐ、初音小路なる、気になるアーケード商店街が。
実はこれ、すぐに行き止まりになるので通り抜けができないのですが、この幅員2mもないような道の両脇にたくさんの飲食店・お店が並ぶ興奮の場所です。
中でも煎餅屋さんで買うことのできる「都せんべい」は絶品です。
 
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道の反対側には、町家型の建物が並びます。
特に写真右に見える緑がかった建物はなんと、珍しいブリキの専門店なんだとか。
「金」+「武」と、「力」の字でブリキと読ませるんですね。。
 
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朝倉彫塑館。
彫刻家・朝倉文夫(故人)のアトリエ兼住居で、現在は美術館として営業されています。
 
 
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これまた年季の入った町家が現れます。
もともとはもう少し奥行きある建物だったらしいのですが、老朽化により所有者は保全改修か全面建て替えかを悩みます。
そんなところに谷中地区の専門家集団「たいとう歴史都市研究会」のサポートが入り、建物の前面道路側を保全改修した地域交流施設「香隣舎」としつつ、奥側を建て替えて賃貸経営化するという方法がとられました。
 
 

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「香隣舎」の裏の路地を入ると、観音寺さんの築地塀が続きます。

 

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まちかど賞に選定されたほどの趣ある塀で、道路面を特殊な透水性ある素材としたり、路側にピンコロ石を敷き詰めたりといった修景がなされています。

この路地は、寺町谷中の様子を強く残す部分と言えそうです。

 

この先、写真はありませんが、前述のたいとう歴史都市研究会プロデュースによるシェア空間「間間間(さんけんま)」や、かつての公衆浴場「(旧)菊の湯」があります。

 

 

初音の道は、菊の湯を過ぎたところで三崎坂からの広幅員道路と合流します。

この道沿いには、有名な「カヤバ珈琲」や「SCAI THE BATHHOUSE」などが聳えます。

 

本エントリの最後は、この道の路地を少し入ったところにある「上野桜木あたり」を紹介することで締めましょう。

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なんども文中に出ている「たいとう歴史都市研究会」を中心に行われた古民家再生プロジェクトの最新案件で、昭和初期竣工の三軒の古民家をベーカリーカフェ・ビアガーデン・コミュニティスペースへ生まれ変わらせています。

 

uenosakuragiatari.jp