no pleasure, no life(旧ブログ名:まちづくり、例えばこんなふうに)

意固地になるほどに"まちづくり"が気になって仕方ない。自分の関わったまちづくりの活動・調査の記録を中心にしつつ、"都市""街の変化"の話題など。 Keyword→まちづくり/都市計画/荒川区町屋/蒲郡/豊橋/三河/谷中

手筒花火と個人的マツリズム。豊橋市・小浜神明社例大祭を体験したお話。

少し前になりますが今年も、わが故郷である蒲郡市のお隣のお隣である豊橋市で手筒花火を奉納してきました。

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この手筒花火奉納は、時間にしてみればごくわずか2分くらいの刹那。(火の粉のシャワー浴びるのは1分未満)

ですが、そこに自立とか祝福とか祈りとか、それぞれの思いを付与することで、手筒花火は勝手にイニシエーションとしての意味を持つようになります。

神様に奉納するという体裁をとりながら、一方で超個人的な儀式になっているわけです。

  

今年も小浜神明社

『手筒花火を奉納してきた』と言うと、「誰でもできるものなの?」と質問されることが多いです。なかなか回答が難しい。

おそらく、地域外からの完全なオープン参加というのは稀なパターンだと思います。

私の場合は、豊橋市が地元である、高校・大学の先輩にお願いして、例外的なオープン参加枠としてお邪魔させていただいています。

 

昨年に続いてお邪魔したのが、豊橋市中心市街地からやや南部に位置する小浜町(こはまちょう)です。

Google Mapより)

 

以前はイトーヨーカドーがあり、シネコンやボウリングもゲーセンも集積してて、個人的に駅前に次ぐ豊橋の副都心だったものの、シンボルであったヨーカドーは今や撤退。

かわりに、新しく入ってきたMEGAドン・キホーテが目印になっている、そんな地域です。

そんな地域の氏神様が、こちらの小浜神明社

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観光客がくるような神社ではなく、地域の氏神様です。

 

その神明社の秋季例大祭の一つとして執り行われる「煙火奉納」で、地域のフツーの人達が手筒花火を揚げるのです。

 

この神明社についてもう少し書きますと、いわゆる神社神社した聖域というよりは、地元コミュニティにとっての町内会拠点のように感じました。

社殿はもちろんありますが、隣接する集会所が二棟もあって非常にキレイ。

お祭り中はここで花火講習会とか懇親会、直会などが行われて、幾度となく中を使いました。

 

ちなみに後から調べたところ、小浜神明社の祭神は天照大御神サマでした。

 

手筒花火と煙火同好会

手筒花火を含めた煙火奉納は、確かに秋季例大祭の一コンテンツではあるのですが、煙火の部分を執り仕切るのは煙火同好会といい、お祭り全体を運営する神社奉賛会とは別組織ということになっています。

手筒花火は全員がやるわけではなく、やりたい人がやっている、という体裁のためでしょうか。(定かではない)

 

やりたいことがやっているという性格の現れとして、そもそも一つ一つの手筒花火にかかる費用は、担ぐ人が払っているということがあります。

今年のお値段は、火薬の量に応じて以下の通りでした。(一斤は800g)

 

一斤手筒 ¥9,000

二斤手筒 ¥19,000

三斤手筒 ¥26,000

四斤手筒 ¥33,000

五斤手筒 ¥40,000

 

ちなみに私は今年は三斤をあげたので、¥26,000を支払っています。ご祝儀レベル。

 

この金額を高いと考えるか低いと考えるか。

2分足らずの時間のために、と考えると高いかもしれませんね。

ましてや、奉納のためには1週間前の講習会に出席する必要があるので、東京⇔豊橋の二往復でさらに¥25,000くらいは使っています。夜行バス含。

ざっと、5万円超ですね。

 

この値段で他に何ができた、と考えることもできますが、あまり意味はありませんね。

自ら選択して、手筒花火奉納という自己投資をしたわけです。

 

昼間は神輿巡行

なお、手筒花火を揚げる人も、昼間のお祭りに参加して神輿を担ぐということは前提です。

花火だけ、ということは原則許されず、地域の人間としてお祭りに参加することが求められます。

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まあ、そうですよね。

それに、夜の手筒花火の数分間だけ参加するなんて、それこそ一瞬で終わってしまう虚しいものになりそうです。

昼間の神輿で肩を虐めながら、少しずつ自分の気持ちを高めていくことが、手筒花火に自分なりの意味を持たせるスパイスなのです。

 

余談ですが、この地域の神輿担ぎは都内でのそれとかなり趣が違います。

神輿や馬(台)など、道具はほとんど変わらないものの、作法がまるで異なる。

 

東京であれば、知っている墨田区高木神社や荒川区素盞雄神社のお祭りは、高密度の担ぎ手の中、肩の上下を揃えないとダメージが増すような持ち方。あまり進まないものでした。

こちらは、肩に担いで、そのまま歩くような形。進行スピードとしては速いです。

 

途中途中で、交差点で神輿を回転させたり、神輿担いで坂道を猛ダッシュしたり、爆竹で暴れ狂ったりしながら、神社へと帰っていく(宮入り)わけですね。

そしてこのあたりから、「よし、いよいよ手筒花火だ」という実感が湧いてきます。

 

再開して二年目の手筒花火は

その日の天候は、朝から、台風も近づく強い雨でした。

手筒花火は雨でもやります。

ただ、安全上、風の強さは実施の可否に関係するらしい。

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着々と進む準備。

煙火会の人間が、観客との安全距離を確保するためのDIYを始めます。

毎年同じ、手慣れた作業。

ベテランのかっこいいオジサマに続いて、血気盛んそうな地域の若者が手伝う。

それほど会話のないこの時間も、花火を揚げる時間の質を上げてくれるように思います。

 

そして、決行。

 

2斤、3斤手筒は、2人ずつ奉納していきます。

私の出番は、わりと早めに来た。

 

 

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今年も、刻みました。

 

これが関係人口か

蒲郡市生まれの私にとって、豊橋はもちろん東京ほど遠くはないといえ、何の所縁もないものです。

そんか、豊橋市小浜町のお祭り。

19歳で初参加して少し期間が空きましたが、31歳、そして今回の32歳と、3回目の参加となりました。

同じ地域のお祭りにこれだけ参加すれば、愛着も湧くものです。

 

特に、前回参加が昨年なので記憶が新しく、顔見知りもできました。

「今年も来たかー」なんて笑顔で言ってくれるおじさまがいたり、ちゃん付けで呼んでくれるお姉様がいたり。

蒲郡市、そして荒川区町屋と、心を決めてきた地域がありながらも、この地域にも強く思い入れを持ってしまいます。。。尻軽でいけませんね。

流行りの言葉に逃げてしまいますが、この地域とのこの、微妙な関係は、関係人口とか交流人口という言葉で表せるのでしょう。

 

二日間とはいえ、地域で濃密な時間を過ごせたら、ほかの362日をどこで過ごしていようが、些細なことでしかない気がします。

 

また、来年帰ってきます。