no pleasure, no life(旧ブログ名:まちづくり、例えばこんなふうに)

意固地になるほどに"まちづくり"が気になって仕方ない。自分の関わったまちづくりの活動・調査の記録を中心にしつつ、"都市""街の変化"の話題など。 Keyword→まちづくり/都市計画/荒川区町屋/蒲郡/豊橋/三河/谷中

福祉住環境コーディネーター検定試験を受けてきて感じたこと

【訂正】1級の受験条件は2級の合格で、飛び級は不可でした。。。笑


本日、「福祉住環境コーディネーター検定試験」という資格試験を受けてきました。

 

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福祉住環境コーディネーター

おそらく“何それ?”という方が多いかと思いますが、東京商工会議所が開催している検定試験の一つで、扱いとしては民間資格ということになります。
ちなみに東京商工会議所が開催している他の資格試験としては、「カラーコーディネーター試験」や「環境社会検定(eco検定)」といったものがあります。

 

さて、「福祉住環境コーディネーター」という職種・職域、なかなか聞き慣れないものかと思います。

福祉住環境」というのは、高齢者や障害者、子育て層といったケアの対象となる方々にとって暮らしやすい住環境のこと。
具体例を挙げると、段差解消のようなバリアフリー改修や、有効な福祉用具の選択といった住環境整備に関することを、
専門職(医師、看護師、社会福祉士介護福祉士作業療法士理学療法士、etc)のチームの一員として、担当していくというもの。
かなり乱暴なイメージとしては、福祉に詳しい建築家?

ただ、この専門職のチームの中で、福祉住環境コーディネーターだけは公的に位置づけられた資格ではありません。
なので実際の現場において、どの程度福祉住環境コーディネーターが配置されているのか、求められているのかということは少し疑問というか未知数ですが。

ちなみに受験者としては、3級で社会保障社会福祉サービス業、建設業といった層。あとは学生が多いようです。

 

その中で今回受験したのは初級である3級で、おおまかな単元としては「少子高齢社会の基礎知識」「ケアサービスの基礎知識」「バリアフリーユニバーサルデザイン」「住まいの整備に関する基本技術」「安心できる住生活とまちづくり」といったものでした。
いずれもパスポートのような、基礎の基礎といったところでしょう。

とは言え、まさに今回欲しかった知識・素養がちょうどこのあたりだったので、まさに“かゆいところに手の届く”出題内容でした。
合否に関しては今の段階で何も言えませんが、まあ大丈夫…でしょう。

 

そもそもこの資格試験を受けようと思ったのは、今後の社会で「福祉」ということが当然のように重視されていくであろう中で、建築・まちづくりに携わる身としても基礎的な素養を持っておきたかったというわりと軽い気持ちでした。
いかにも建築的な、「どんな空間が高齢者にとって生活しやすいんだろう?」というような部分はもちろんですが、
介護保険制度といった社会保障制度の概要が一体どのようになっていて、被保険者はいかなる条件のもとでいかなるサービスを受けることができるのかといった内容に関しても今まで触れることはなかったので、それを知ることができたでも今回勉強のしがいがありました。

余談ですが、建築・都市計画系の資格というものはボリュームや受験資格の面でハードルが高いものが多い(建築士技術士宅建など)一方、福祉住環境コーディネーター試験は受験資格に制限のないので貴重だったという事情もあります。笑

 

ただ、今日初めて気づいたのですが、福祉に配慮したハード環境を整備する、それだけの資格というわけではなさそうです。

 

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3級はまあ大丈夫だろうということで、より上級を検討してみようかと思い、書店でテキストを探していたわけです。


そこでまず、1級の公式テキストより2級の公式テキストのほうが明らかに分厚いということに気づきました。

 

単純に考えると、上級になるにつれてより難解・濃密になっていくのであれば、テキストの厚さもそれに比例するというのが自然というもの。
しかしその摂理に反する、なぜ?と思ってそれぞれのテキストを流し読みしてみると、そもそも出題範囲の方向性が異なっているということに気づくわけです。

 

2級の出題範囲が以下。

高齢者・障害者を取り巻く社会状況と住環境
福祉住環境コーディネーターの役割と機能
障害のとらえ方
リハビリテーションと自立支援
高齢者・障害者の心身の特性
在宅介護での自立支援のあり方
高齢者に多い疾患別にみた福祉住環境整備
障害別にみた福祉住環境整備
福祉住環境整備とケアマネジメント
福祉住環境整備の進め方
福祉住環境整備関連職への理解と連携
相談援助の実践的な進め方
福祉住環境整備の共通基本技術
生活行為別福祉住環境整備の手法
福祉住環境整備の実践に必要な基礎知識
福祉用具の意味と適用
生活行為別にみた福祉用具の活用

 

一方の、1級テキストの出弾範囲は以下。

これからの社会に求められる福祉住環境整備
福祉住環境コーディネーター1級の目標と役割
地域で支える高齢者ケア
地域で支える障害者ケア
地域福祉の推進と福祉コミュニティ
福祉コミュニティづくり
ユニバーサルデザインの概念および沿革
ユニバーサルデザイン環境の整備手法
高齢者・要介護者向け住宅・施設の流れ
高齢者住宅・施設の種類と機能
障害者向け住宅および施設の種類と機能
福祉住環境のコーディネートの実際

 

きちんと比較したわけではないので判断するのは早計とも言えますが、「地域福祉」ということが1級においてより重視されている印象を受けました。

一方の2級では、住環境のバリアフリー化・ユニバーサルデザイン化・実際の整備の仕方といったよりミクロなところに重点が置かれています。

 

少し自分の考えを挟みます。

以前のエントリ「福祉概念ってむずかしい」でも少しだけ言及しましたが、「地域福祉」とは「地域住民と関係団体・社協・行政等が連携して、地域の生活課題の解決に取り組み、地域特性に応じた支えあいの地域社会を作ること」(横浜市「第3期地域福祉保健計画」より)ということ。

単に「福祉」と言うだけでは、「防災」「防犯」「みどり」「交通」と同じようなタコツボ的テーマ群と同列になってしまいます。単なるテーマの一つ、という風に捉えられがちになってします。

しかし「地域福祉」となればその包含する領域は圧倒的に拡大し、「自分達の地域は自分達で作っていく」というまちづくりの理念とほぼ同義となります。

 

福祉住環境コーディネーター試験で、地域福祉についても言及があるということは、もはや「“地域福祉・コミュニティ環境”コーディネーター」のようなイメージのほうが合致している感じでしょうか。

 

結論としては、次は1級を受験します!
いろいろ大丈夫かな。。。笑(仕事とか合格可能性とか)

 

1級はテキスト外からも出題されたり記述試験もあったりするようですが、まあそのあたりは関係ないので、検定の合格を目指す名目で地域福祉まちづくりについて深い知識を学んでみたいと思います。

 

・・・しかし。
勉学を重ねて知識を積み重ねて頭でっかちになるだけということも避けたくて、実践による経験知も積みたいなあと少しナーバスになるこの頃。