【視察報告】豊橋駅前大通二丁目第1種市街地再発事業と周辺エリア - 「豊橋プロジェクト(仮称) 第1回」
8月9日に、豊橋の現地視察へ行ってまいりました。
依頼元から説明があったので、今回の発注内容について少しずつ理解し始める。
まずは現場を見なければ始まらないということで、現地調査。
駅直結のタワーから再開発事業予定地を見下ろす。
フォルクスワーゲンの看板のビル(開発ビル)と奥にうっすら見えるレンガ色のビル(名豊ビル)、そしてすぐ右に見える児童公園が再開発事業の対象範囲となります。
もう一つポイントとして、児童公園のまたすぐ右を一列に分布している、3〜5階の下駄履きビル。
よく見ると写真手前から始まり、川のように蛇行しながら遠方へ。
これが豊橋の(おそらく)建築的な名物である、水上ビルです。
農業用に使われる牟呂用水が暗渠化(川にフタがされた状態)された、その上に建てられたもの。
本来暗渠の上にこんなガッチリした構造物がくることはないのですが、豊橋ではなぜかRCの中層建築物が聳えています。
しかも限りなく建蔽率100%であるなど、建築基準法では解釈不能な要素も多い。
さて、地上へ。
駅前大通りを視察隊が進みます。
右手に見えるはキュウリのキューちゃんでお馴染みの東海漬物。
写真では見づらいですが、(民鉄なのに)市電の軌道が横切ります。
名豊ビル。
見た所意外に古びた印象はないのですが、調べると昭和43年開業ということなので既に築50年近いことになります。
かつては天皇陛下を迎えたとも言われる豊橋グランドホテルが入居していましたが、現在は(再開発の準備なのでしょうが)かなりテナントが抜けた状態。
その裏側に、周囲から少しレベルの高い形で狭間児童広場という広場があります。
狭間児童広場。名豊ビルから直結しており、中心の換気口を兼ねたオブジェ?が印象的。
鬼祭りや手筒花火といった豊橋の名物がモザイクタイルで描かれていますが、経年での剥がれが目立ちます。
奥に見えるは水上ビル。
広場を広場として使う人の姿はなく、辛うじてお住まいと思われる方がベンチで寝転んでいらっしゃるのみ。
ちなみにこの気になるオブジェ、下からだとこんな感じです。
地下駐車場(かつては地下バスターミナル)で採光をとるためのトップライト、、、なのでしょうかね。
そしていよいよ水上ビル。
下に降りてみると、ビルとビルの間を横切る道路には欄干の存在が確認できるので、ここが確かに水(川)の上であることの面影が感じられます。
水上ビルの様子をもう少し。
8/11からあいちトリエンナーレが始まることに関連した動きもちらほら。
確かにこの水上ビル、クリエイター好みの建物な感じはする。
こんな建物が、なんと800mにわたって暗渠沿いに分布している光景はまさに異様。
現実問題として老朽化や空きテナント化が深刻だとは言え、これをただの都市の不良ストックと切り捨てることはあまりに無粋です。
水上ビルについてはこちらの記事が詳しいですね。
さて、先を進みます。
こちらが、穂の国とよはし芸術劇場PLAT。愛称は"ぷらっと"です。
かつて豊橋鉄道渥美線の軌道敷だった場所(現在はセットバック)に、2013年に開館した劇場です。
新しいだけに、施設や設備面もお金がかかっている模様。
これが舞台の下で、ステージに敷かれた木材を、この鉄パイプが支えています。
"束立て式"というらしいのですが、ちょうどオフィスで使われるOAフロア(フリーアクセスフロア)の強化版という感じです。
この規模での束立ては、他にも類を見ないとのこと。
さて、タワーのあるココラフロントへ戻って視察は終了。
その後は打ち合わせとなるのですが、その様子(すべては書けませんが)はまた次に譲るとして。
今回の視察経路はこんな感じです。
この地図を見ると、発注元が抱えている課題意識が少し理解できます。
今回の再開発エリアが、駅前から離れているのです。
駅前には、駅直結のココラアベニュー、ココラフロントがありますが、それらと再開発事業地区の間には比較的空地も多く、商業密度も低いため歩行者回遊性に難があると言えます。
中高層部分に入る予定の住宅であれば(じゅうぶんに駅近なので)それでも問題はありませんが、商業部分については歩行者の駅前回遊ルート上に入りにくいのです。
さらに今回の再開発では、まちの賑わいをもたらす広場の計画が入っていますが、それもまちなかの歩行者密度というところが重要になってきますが、位置的に難があるのです。
そしてさらに言えば、そこを打開するキーとして水上ビルがあるように思います。
水上ビルは既に都市インフラとも言えるような存在感・規模を有しており、商店街の形を成していることから、"回遊軸"となりうるポテンシャルがあるのです。
現地視察の報告はそんなところで。
再開発事業と併せて、豊橋のまちなかにどんな仕掛けができるか。
引き続き取り組んでいき、情報発信を進めていきたいと思います。