東京都の積算ミスに対する音喜多先生のコメントにやや違和感。
学生時代より尊敬している音喜多さん(現職都議)の記事から。
この報道に関する内容です。
東京都が今年度に行った40の公共工事の入札で、落札条件の一つとなる「最低制限価格」を誤って設定し、このうち8つの入札では、本来落札できた業者が工事を受注できなかったことが都の調査でわかりました。
東京都は先月、下水道設備の入札で落札条件の一つとなる「最低制限価格」の設定を誤るミスが見つかったことを受けて、ことし4月以降に行ったすべての入札について緊急調査を行いました。
その結果、40の入札で同じようなミスが見つかったということです。(上記記事より)
要は、本来正しく算出されるべき工事価格において積算上の誤りがあったため、最低制限価格にもズレが生じたということ。
本来の金額であれば最低制限価格未満とはならずに落札なっていたはずの業者が、みすみす受注機会を逃すことになったということです。
この問題に対して音喜多さんは、以下のように指摘しています。
最低落札価格は計算ソフトなどによって算出しているはずですが、これだけ多くの入札でミスが発覚したということは、間違った値や数式を入力したフォーマットを前例踏襲していた恐れがあります。
何より根深いのが、そうして出てきた誤った値に都職員が気づかずにスルーしていることです。
事業内容に対して理解があり、「この案件で妥当な金額は○○億円~✕✕億円だな」という相場観さえ持っていれば、誤った金額を見れば違和感が働くはずです。
(上記ブログ記事より)
全くの的外れではないのですが、少しセンセーショナルに、誇張されすぎている気がします。
煽り?
この件について、私が実際に地方公務員として工事設計・積算実務を経験した立場から勢いでツイートしたものを並べてみます。
うーん。。行政で実際に工事積算実務してた身としては、問題はそこではない気がするのです。
— こむば氏@荒川 (@KMB_Masa) 2016年12月17日
まさかの落札条件の設定ミス。都職員には適切な「事業の見積もり能力」「金銭感覚」があるのか? | 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト https://t.co/DWCRKPXyZw
物品調達は確かに見積もりによるもので、付き合いの長い業者であれば市場感覚と異なる金額をふっかけることもあるのかも。相場がわかりにくい調査委託であれば受託するコンサルも死活問題なので、そういう傾向はあるのかもしれません。
— こむば氏@荒川 (@KMB_Masa) 2016年12月17日
ただ工事価格は違って、積算基準という厳密な規定があるはず。役所で設定された単価と刊行物単価(いずれも市場調査による)を必要数量積み上げて算出した直接工事費(図面からわかる、工事に必要なもの)に、経費と呼ばれるものを乗せて決まります。
— こむば氏@荒川 (@KMB_Masa) 2016年12月17日
難しいのはおそらくこの経費計算で、共通仮設費、現場管理費、一般管理費の三種類に分かれていること。そしてそれぞれの算出の仕方が、直接工事費に一定の比率を乗じて求める費目(社会保険料とか人件費とか)と、必要な金額を直接積み上げるべき費目(足場とか廃棄物処理費用とか)が混在してること。
— こむば氏@荒川 (@KMB_Masa) 2016年12月17日
同じ事案を報じるこちらの記事を見ると、ピックアップされている工事についてはいずれも経費計上にあたるものが原因のように読み取れます。https://t.co/BiKcLZRKQV
— こむば氏@荒川 (@KMB_Masa) 2016年12月17日
.@kenplatz_ed 経費の種類によって比率が違うので、分類を誤ると工事価格は本来あるべき数字と異なるものとなります。当然最低制限価格も変動して、今回のようなことが明るみに出るのです。とりあえず背景についてはこんな感じでしょうかね。
— こむば氏@荒川 (@KMB_Masa) 2016年12月17日
.@kenplatz_ed 原因①→積算ミス防止策として、設計者自身の検算に加えて別の職員によるダブルチェックのシステムはどこでも持っているはず。ただ積算実務に熟達していない行政職員によるチェックなので、年間発注スケジュール遵守というプレッシャーのもとにいる検算者がザル検算をしてしまう可能性はあるでしょう。
— こむば氏@荒川 (@KMB_Masa) 2016年12月17日
入札前の工事価格に関わる業務なのでむやみに数字を出せないという事情ゆえの職員検算なのですが、素人検算という限界はあります。こうした事件を受けて、信頼できる外部の専門調査機関に検算業務を依頼するような転換があればよいのにと思います。既にそういう自治体あるんでしょうかね。
— こむば氏@荒川 (@KMB_Masa) 2016年12月17日
・・・と、いう感じです。
金銭感覚の話がないわけではないのでしょうが、それよりは、年間発注スケジュールを遵守することが至上命題であり、プレッシャーの下にある行政担当職員の下では、またこういうことは何度でも起きるのだと思います。
根本的な仕組み、例えば検算業務の外注化などこそ有効のように思われます。