【妄想】町屋プロジェクト構想其の参の前編 「"(仮称)荒川中央エリアマネジメント"による新たな地域運営」
第三弾です。
実は今回のネタは一、二を争うくらいやりたい度が高いのですが、その反面実施のハードルも大きいのも事実。
町屋地域で面白い人たちのネットワークができてきた段階で、試みてみたいなー。
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エリアマネジメントという地域運営の方式
町屋でやってみたい大きなこと、それはエリアマネジメント(以下、エリマネ)です。
簡単に言えば、既存の町会・商店街組合といった個別の自治単位とは別に、町屋地域をエリアとして活性化させるための協議体かつ法人です。
町会や商店街との違いは、加入者の相互扶助という枠を超えて、"エリマネとして利益を上げつつ、そのぶんを街に再投資する"仕組みがあることです。
また、従来的な「まちおこし」「まちづくり」との違いは、単発的なイベントではなく"戦略性を持った持続的な仕組み作り"だということです。
(いずれも国土交通省サイトより)
エリアマネジメントの中心となる組織は、NPO法人や一般社団法人といった形態をとり、一般に「まち会社」「まちづくり会社」と呼ばれます。
要は、町屋地域のためのエリアマネジメント組織、『(仮称)荒川中央エリアマネジメント』を妄想するのです。
エリアマネジメントのイメージとして、以下の資料も。
こちらは経済産業省系の資料なので、国土交通省系のエリアマネジメントと完全な一致はしていませんが、大まかな参考には。
国土交通省系のパンフレットもありますね。
http://tochi.mlit.go.jp/tocsei/areamanagement/web_contents/H20torikumi/data/susume.pdf
ちなみに、エリアマネジメントという地域運営の考え方自体は、それほど新しいものではありません。
例えばこの分野の教科書的なテキストは12年前である2005年の発刊ですが、既にエリアマネジメントの事例とされるものが多く紹介されています。
その一方で、全国各地でエリアマネジメントを担う主体が本格的に相互ネットワークを築くようになったのはここ最近のことで、例えばこちらの「全国エリアマネジメントネットワーク」は2016年に発足したばかりです。
"まちづくり"や"活性化"は、盛り上がった街の状態それ自体を指す目的志向の概念ですが、エリマネはあくまで手法を指します。
それゆえ、エリマネを立ち上げること自体が目的なのではなく、それによってどんな課題解決を行い、魅力的な街を作るかということが重要です。
エリアマネジメントの具体的なイメージ
ここまでは観念的な話でしたが、強く意識してから事例を紹介してみることで、イメージを共有したいと思います。
エリマネの手法がどのように活用され、街を変えているのでしょうか。
新住宅都市としての魅力ある発展を目指す「小杉駅周辺エリアマネジメント」
(wikipediaより)
まずは有名な武蔵小杉から。
武蔵小杉では、駅東側を中心とした再開発ラッシュにより、タワーマンションが林立する新しい住宅街が作られています。
この開発に併せて子育て世代を中心とした転入ラッシュが起こった結果、一帯が全く新しい街となっているのです。
言うまでもなく、住むところ(=マンション)があるだけでは街は成立せず、商業その他の各種機能はもちろん、文化やコミュニティというものも、街の魅力・価値の上で大事な要素となります。
しかし、ある一定の時期にまとまって作られた街においては、例えばお祭りを中心とした密接なコミュニティの未形成など、そうした要素は不足せざるをえません。
新しい街においてこうした課題に対応し、まちの魅力の保全・向上に取り組んでいくための受け皿が、この小杉駅周辺エリアマネジメントだということになります。
タワーマンション群が作る新しいコミュニティ
NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント | 武蔵小杉駅周辺の地域コミュニティの形成や安全・安心のまちづくりをめざして 略称:NPOエリマネ
こちらでエリアマネジメントを担う主体は、「NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント」。
なんと川崎市の支援により、平成21年に立ち上げられました(定款の施行)
その理念や活動領域は、こちらのパンフレットにまとめられています。
こちらや公式サイトを見ると、 子育て支援・防犯防災・交流・イベントなど、多岐にわたる領域の活動にエリマネとして取り組んでいることがわかります。
分野ごとに参加の敷居の低いワーキンググループが設けられており、会合やイベントの都度サイト上で丁寧な告知と報告が行われていることが特徴です。
(スマホ版サイトより)
こうした活動は、もはや町会が行うような自治活動に近いものです。
(コスギフェスタサイトより)
このエリマネにおいて重要なことは、エリアの魅力やブランド的価値に直接的に結びついていることです。
一般的な町会の自治活動であれば、たとえ積極的で面白い活動がなされていようとも、それはあくまで町会会員の相互扶助にすぎないほか、その活動を外に向けて発信することもありません。
ゆえに、町会活動が新規入居に結びつくということは考えにくいでしょう。
でも、武蔵小杉におけるエリマネはやや違うのです。
居住者(ここではエリマネ会員)の相互扶助という性質は同じですが、担い手となる世代の若さと発信能力の上に、不動産事業者をはじめとした企業によるエリマネ推進のパワーもあり、さらに武蔵小杉の魅力を増しています。
また、エリマネを担う主体には既存町会や商店会等もおります。
エリマネは他にも
エリマネの事例として大丸有や秋葉原は有名ですね。
前述したエリアマネジメントネットワークを眺めていたらこのあたりも気になった。
また、言わずもがなですがワテラスを中心とした淡路町エリアマネジメント。
ワテラスの高層棟に設置された学生マンションと彼らを地域活動に参加させて地域に巻き込む仕組みが、とても好きです。
今回も例によって書きすぎてしまった。
次回は後編で、町屋地域でどんなエリアマネジメントが考えられるか、を考えてみたいと思います。