豊橋駅前大通地区まちなみデザイン会議エリアマネジメント部会が始まりました
昨年度から始められた取り組みが、ようやく表舞台に出てきた感覚です。
私はまだ何もしていませんが。。
豊橋駅前でのエリアマネジメント体制構築に向けた、具体的な協議の場が整いました。
これから一年間かけてこの場で、豊橋駅前エリアをさらに面白くしていくための作戦会議が進められていくこととなります。
エリマネ検討部会の発足
協議の母体となるのは、平成20年に発足し、既に一定のエリアマネジメント的な組織として活動をしていた、「豊橋駅前大通地区まちなみデザイン会議」(以下、駅デザ会議)。
この協議体の中の専門部会として、この4月に「エリアマネジメント検討部会」(以下、エリマネ検討部会)が新設され、面白いアイデア出しや実現のための方法検討が進められていくこととなります。
駅デザ会議とは?
駅デザ会議とは、豊橋駅前エリアの中でも、特に駅前大通と水上ビルを軸とした駅南エリアをフィールドにする主体が集まり、エリアを面白くするためのイベントや協同的情報発信、計画づくりを進めていくための場です。
このエリアは、西武百貨店の撤退やバスターミナル閉鎖といった“豊橋の衰退“を最も強く感じざるを得ないエリアであり、エリア価値の底上げを試みるモチベーションが十分にある方々が集まっています。
平成15年の「西武百貨店の撤退」や「バスターミナルの閉鎖」は、豊橋の中心市街地(まちなか)、特に駅前エリアの衰退を強く印象づける出来事でした。これを機におこった“まちなかをなんとかしたい”という動きは、駅前では、ココラフロント、ココラアヴェニュー、市電電停の新設、芸術文化交流施設「プラット」の整備へとつながっていきます。水上ビル界隈を「アート」で盛り上げようという「sebone(セボネ)」をはじめ、駅前での恒例イベントも増えてきました。
(駅デザ会議公式ページより)
確かに、私が幼少期から感じていた「大都会・豊橋」を感じた一番の要素は西武百貨店とその最上階の映画館「豊橋東宝」の存在でした。
映画と言えば豊橋で、高鳴る胸を抑えながら電車に乗ってるゴジラ映画を観に行ったものです。
豊橋市内の高校に進学後は豊橋が日常になったものの、在学中に西武百貨店が閉鎖となったことのショックは今でも覚えています。
駅前エリアのまちづくりについて、総合的・俯瞰的、かつ、自由に話し合い、提案のできる「場」が必要となりました。駅デザ会議は、駅前各自治会、商店街、エリア内ビル(オフィス、百貨店等)の所有企業、鉄道会社、イベント企画団体のほか、大学、行政からの協力を得て、平成20年夏に発足しました。以降、定期的な話し合いやワークショップの開催、「まちづくりビジョン」の作成、イベントへの協力など、さまざまな活動を行ってきました。これからも駅前エリアの情報の発信や提案を“市民発”で行っていきたいと考えています。
(駅デザ会議公式ページより)
駅デザ会議とエリマネ検討部会は何が異なるのか?
ではなぜ、既に緩やかなエリマネ的活動のあったところに、さらなるエリマネ検討を進める必要があったのか。
そこには主に2つの理由があります。
"駅前"エリアの拡大を図る
1つ目はエリアの拡大です。
駅デザ会議が対象とするのは前述したように駅南であり、具体的には以下のような駅前大通以南を指します。
(駅デザ会議公式ページより)
しかし、豊橋市の中心市街地の衰退は駅南エリアに限らずより広い範囲で進行しており、例えば広小路通りやときわ通り・松葉通りといった商店街についても疲弊が見られます。
ときわ通りについては、奮闘の結果近年空き店舗がなくなったなどのニュース(下記リンク先)もありますが、精文館横のレコードショップの撤退や映画館スカラ座の撤退、近年では広小路アーケードの撤退など衰退を感じる現象が起きてきています。
しかしこうした北側エリアを包括して活性化するための枠組みは現在存在せず、既存の商店街振興組合や単独の主体がそれぞれ頑張っているという状況です。
HANACOYAを初めとする魅力的な取組はもちろんありますが、横につながる仕組みがない。
もちろん豊橋で活動するオモシロい存在はとっくにつながっており、個別では魅力的な連携も始まっています。
エリアマネジメントはそれらに戦略性とさらなる一体性を加えようという夢想の試みなのです。
今回のエリアマネジメントで視野に入れているのはこうした広い範囲での"駅前"。
それは豊橋市中心市街地活性化基本計画が対象とする区域にほぼ一致します。
(第2期豊橋市中心市街地活性化基本計画より)
既存の駅デザ会議が対象としていたエリアを超え、豊橋駅前エリア全体をエリマネしていく方向に転換しようという試みが開始されたのです。
収益性を含めたエリマネ体制の強化を図る
今回の動きの理由のもう1つは、収益性を含めてエリマネ体制の継続性を担保しようというもの。
それは一体どういうことか。
完全なボランティアベースのまちづくり・まちおこしは、"頑張ってこの街を盛り上げよう!"という初動期にこそ大きな盛り上がりを見せるものの、継続しないということが課題として指摘されます。
この背景としてモチベーションの継続性やフリーライダーの問題が考えられますが、要は"一時の衝動は一時の衝動に過ぎない"のです。言い過ぎか?
もちろん、活動の軸を本来的な活性化や社会的な変革から外し、参加者同士の親睦にずらすことで活動の継続性を図っているところもありますが、それらは外から見るとどうしても牙の抜けた印象が拭えません。
一方、エリアマネジメントはボランティアではありません。
エリアマネジメントの多くはその活動主体として独立した法人(NPOや一般社団など)を有しており、常勤の職員と収益体制を確立しています。
もちろん派手な収益はないものの、法人化による動きやすさや社会的信用性は任意団体の比ではありません。
一定の収益構造を確保することで常勤の職員を雇えるようにしつつ、戦略的な試みを継続的に行うことでエリア価値を向上させていこうというのが、法人化の目的です。
収益を得る手段としては行政からの指定管理ほか、場所貸しサービスやカフェ事業・コワーク事業の運営などの事例があります。
例えば千葉県鎌ケ谷市で進められている「KAOの会」というNPO法人は、再開発ビルの商業床の大家さんとしての収入に加え、道路・植栽の保守管理委託、マンション管理組合との景観維持委託を受けることで収益を確保しています。
NPO法人(特定非営利活動法人)KAO(カオ)の会。千葉県 鎌ケ谷駅前を核としたまちづくり活動。
豊橋において収益のある無理のないエリマネ体制を確保するためにどんなことが考えられるか、それを考えるのもこの場の目的となっています。
ロードマップ
この協議の場は、とりあえず一年間の時限的なものとして想定されています。
エリマネ体制や、具体的なオモシロいネタ・それを実現させる方法について基本的なことを話し合った後、エリアマネジメントは正式な協議体に移行を予定しています。
並行して、法人格を持つエリマネ法人の設置準備を進めます。
ここで述べたことは全て現時点での想定に過ぎず、実際はこの協議の場での議論の経過によってどうにでもなります。
まずは、豊橋駅前で新たなオモシロイ動きが開始されたということが、広く知れ渡れば。