横浜市民だけど素盞雄神社の天王祭(町屋地区)で御神輿担いできた話のその1。
早くも一週間がに過ぎてしまいましたが、素盞雄神社の天王祭に参加してきました。
御神輿を担いだのは、昨年の高木神社の例大祭以来ちょうど一年ぶり。
前回は、マツリズムという、わかりやすく言えばお祭り参加仲介事業の中での御神輿担ぎであり、いろいろと思うところがありました。
一方で今回は、そういった下地のない正真正銘の飛び込み。ダイブ。
もちろん、やはり思うところはありましたが、昨年得たものとはやや異なる気がしています。
そんな、昨年のお祭り体験記はこちらから。
経緯と動機
今回のお祭り参加は、直接の知人の方を介してのものでした。
件の"荒川区景観まちづくり塾"には地域で活動をされる様々な方々がおり、その中にはもちろん町内会の関係者もいらしたのです。
幸いなことに、私がグループワークで所属していた町屋・荒川地域には、私がかつて荒川区民だあった時代に所属していた町内会の総務部長さん(もちろん当時は面識ありません)がおられ、仲良くさせていただく中で、今回の天王祭ダイブが実現したというわけです。
完全な私事ですが、今年7月には荒川区へ再入国予定。
でも、それだと6月上旬の天王祭は、素盞雄神社の氏子として迎えられない。
それならば、あらかじめフライングしてしまえ、氏神様への挨拶を先にしてしまえということで。
ちなみに以前の記事に書いたように、こうした余所者のお祭り参加自体は、おそらく多くの町内会・氏子組織で受け入れ体制があるものと思われます。
ポスターに「担ぎ手募集」と記載がある地区であれば、電話やメールというハードルを超えさえすれば、誰でもお祭りに参加できるのではないでしょうか。(保証はしませんが。。)
お祭りの流れ
平成29年の天王祭は6月3日(土)、4日(日)の2日間にわたって行われました。
最初に申し上げてしまうと、見物対象としての天王祭の見所はそれほど多くはないなと感じます。
基本的にはとにかく硬派に硬派に、御神輿の渡御(御神輿を担いで練り歩く)なのです。
あと、別に御神輿を担いで素盞雄神社に向かうわけではないということもポイントだった。
当初は、61町会の御神輿が氏神様たる素盞雄神社に勢ぞろいするのかと思いましたが、あくまで町内巡行と、町屋地区とか南千住・三ノ輪地区とかいうように、まとまった地区単位での連合渡御があるのみでした。
ちなみに参加させてもらった町内会のお祭りスケジュールは以下の感じ。
6/3(土)18:00 町内巡行
6/4(日)12:00 町屋地区15町会連合渡御@尾竹橋通り
15:30 町内巡行
17:30 直会
※ちなみに今年は陰祭で、来年は3年に一度の本祭があり、本社神輿や白馬が出るなど、ガラッと演出が異なるそうです
御神輿の出発以前
早速ながら、御神輿が出るだけがお祭りではありません。
御神輿はお祭り2日間の"動"の部分だというだけで、それ以外の"静"にもお祭りの重要な要素が詰まっています。
御霊入れ
正確にはこの段階では私は立ち会っておりませんが、宗教行事としてのお祭りにおいては重要なことなので。
御神輿というものは文字通り"神"を載せて担ぐわけですが、常に御神輿に神が宿っているわけではありません。
神はあくまで神社におられ、お祭りの時だけ御神輿に宿られるのです。
御霊入れとはこのための、御神輿に神を載せる儀式です。
一神社に対する氏子町会の数が少なければ、御神輿を直接境内に持ち込んで御霊入れしてもらうお祭りもあるのですが、ここ天王祭においては、素盞雄神社を氏神と仰ぐ町会数はなんと61。
そもそも氏子圏域が広大であるゆえに、町屋地区の御神輿が直接素盞雄様に来るということはありません。
というわけで、御霊入れの儀式を受けたお札を持ち帰り、御神輿に移すというものだったようです。
待機所
お祭りは二日間なのですが、その間中ずっと御神輿が出ているわけではありません。
二日間合計しても御神輿の時間はせいぜい4時間程度という感覚で、それ以外の時間帯の御神輿は、町会会館に設けられた神酒所前に鎮座されています。
(町会会館と御神輿)
御神輿は町会会館に、それでは担ぎ手達はどこにいるのか。
そう、彼らは公園に設けられた待機所にいるのです。
(待機所の様子)
この待機所にいる時間がほとんどと言っても過言ではありません。
ここで何が行われるのかと言えば、私が観察する限りには、
- 青年部による飲食(ほぼアルコール)と地域コミュニケーション(やや手荒め)
- 町会婦人部による炊き出し
- 協力団体達とのご挨拶と奉賛金対応
といったことが行われていました。
①とにかく飲む
お祭り期間中、青年部を初めとする担ぎ手の皆様はとにかく飲みます。
それも、ビールとお茶割り。
そういえば、神酒とかの謂れとして、酔えば神の領域に近づくといった話を聞いたことがあるのですが、あの感覚なのでしょうかね。
お酒と併せて、特有の地域コミュニケーションも忘れてはなりません。
何かと言えば、余所者の介入を拒むような内輪的なコミュニケーションのことです。
親戚が甥っ子に「お前はいくつになったんだ?」と聞くような、共同体所属員に対してライフステージの変化を確認するような、あの感じ。
②カレー、カレー、カレーの炊き出し
御神輿の出発前や終了後、酒以外にも食べ物が振る舞われます。
その中で、かなりの割合を占めるのがカレー。聞けばそれは、予算と手間を理由に、安価かつ大量に調理しやすいから。
これを作られているのが、町内会の婦人部のお姉様方というわけです。
まあ、カレーはよいのです。それよりも。
今や家庭内における男女役割について、男が力作業で女がそのサポートなのだというように、固定的に考えることには批判的なご時世かも知れません。
ただ地域という共同体においてはまだまだそれが標準のようで、婦人部は炊事と相場が決まっている感覚でした。
婦人部の方々は待機所での炊き出しと、御神輿が止まる度にある休憩時の差し入れを担当してくださいます。
③お祭りは地域だけでは成り立たない、協力団体の存在
そしてこれが今回のお祭りでの発見。
前提条件として、地域の人だけでは御神輿を担ぐことができないというのが、荒川区に限らず日本各地で発生している課題です。
それなら助っ人が必要だということで、多くの地域における当面の処方箋となっているのがこの”助け合い”制度。
要は、お祭りの時期が異なる他の地域の氏子団体や、氏子団体ですらない御神輿担ぎの同好会("〇〇會"というような名称が多い)の方と日頃から協力関係を結んでおき、お互いのお祭りを行ったり来たりするわけです。
特徴的なのは、御神輿を担いでる方々の色とりどりの半纏。
まあこうなるわけです。
(どこの氏神様を担いでいるのかわからない御神輿。この地域の半纏は紫色です。)
奉賛金
お祭りは何かと物入りです。
神酒所の装飾のほか、担ぎ手の飲食にとてつもないお金が必要となります。
こうしたお金は、氏子を中心として"奉賛金"として集められたお金、要はカンパにより賄うわけです。
お金を集めた方々は、神酒所近くの掲示板にでかでかと名前と金額が飾られます。
スポンサー一覧、というわけです。
今回はこんなところで。
次回いよいよ御神輿の町内巡行と連合渡御、そしてその後に考察について書きたいと思います。