お祭りの"担い手不足"に抗うことはできるか?墨田区高木神社例大祭に向けた参加オリエンテーションを開催した話。
お祭りの季節ですね。
街には交通規制の予告も。
今年の天王祭は三年に一度の本祭にあたるので、いろいろと例年と様子が違うようです。
そんな中、今回は荒川区のお隣、墨田区にある高木神社例大祭のお話です。
これまでこの神社は、主に一般社団法人マツリズムのくだりでたびたびご紹介させていただきました。
今回は、その高木神社例大祭が迎えた、とある危機に関するお話です。
祭の担い手不足
東京にも地域ごとに、お祭りがあります。
地域によって方法の違いはありますが、多くの場所で御神輿や山車などが出されます。
東京に限らず全国的に存在する、お祭りの光景。
しかし、お祭り・祭礼というものは、当たり前のものでは決してありません。
お祭りの執行を担う"担い手"がいるからこそ存続しうるものです。
言い換えれば、この担い手がいなくなってしまえば、それはすなわちお祭り存続の危機ということを意味するわけです。
身近な複数の事例をもとにした実感ベースではありますが、自治会・町内会と同様に、この担い手の人数は右肩下がりの傾向にあるようです。
背景には少子高齢化ということも当然あるのでしょうが、どうやらそれだけではなく、"地域に確実に若者はいるのに、お祭りに出てきてくれない"という、どこかで見たような構図があるのではないかと感じます。
今回の、高木神社例大祭の執行を担う氏子組織の1つである「四丁目睦(よんちょうめむつみ、通称よんむつ)」も、少し特別な事情はありますが、そんな課題に直面しています。
高木神社建立550周年記念事業と氏子の負担
よんむつが課題に直面した背景には、前述のような一般的な傾向のほか、もう一つの理由があります。
それは、高木神社の御鎮座五百五十年に伴う氏子の負担増。
詳しい事情は省きますが、このことによって、これまで頑張って来られた苦労が、良くない形でどっと出てしまったのです。
結果として、お祭りの直接的な運営を担うことのできる睦員はたった7名と、五年前の4分の1になってしまいました。
さて、祭をどうするか。
当然、今年のお祭り自体の存続が危惧されるような事態です。
無理をしてお祭りを続けるか、これを機にお祭りを縮小したり、いっそやめてしまうか。
お祭りは素晴らしいものですが、なくては地域が成り立たないか?と言われれば、決してそういうものでもありません。
新しく作られたニュータウンのような街では、神社祭礼がそもそも存在しない地域や、盆踊りがあるのみ、という地域も珍しくないのです。
では、これまで当たり前のようにあったお祭りをやめてしまってよいのか。
これまで連綿と続き守られてきたものを、断ち切るのか。
ここで強調するべきは、地域の人がどんな決定をしようと、余所者が無責任なことを主張することは控えねばなりません。
「もったいない」という言葉さえ無情なものです。
さて、一般社団法人マツリズムは、この四丁目睦と高木神社に、四年前から余所者として関わってきました。
基本的には、都会の若者とここのお祭りを繋げるという、イベント的な関わり方として。
マツリズムは、よんむつの方々と話し合いました。
もちろん、押し付けがましい方法にならないよう留意してですが。
マツリズムのスタンスはこんな感じです。
"基本的には地元の方の決断を支持します。
でも、もしもまだお祭りを存続させたいという場合は、担い手探しに全力で協力をしたいと思ってます。"
よんむつの方々は、まずは今年の祭りを盛り上げるよう頑張ったのち、来年以降については改めて考えるということを選択されました。
参加オリエンテーションによる"掘り起こし"
参加オリエンテーションの発想
まずは今年のお祭りを盛り上げるため、参加人数を増やしたいところです。
これまでもマツリズムは、地域外から若者をお祭りに紹介するという形で、盛り上げの協力をしてきました。
しかし、今回はそれだけでは不十分だと考えました。
そのためには、地域内からのお祭りへの参加門戸を広げることが最優先だと考えました。
それが、地元での参加オリエンテーションというものに結びついていくのです。
地域に住んでいても、お祭りに参加する方法は極めてわかりにくいものです。
お祭りに限らず、街の情報が掴みにくい。
町内会や自治会がそもそも情報発信をしていなかったり、回覧板は非加入者に届かなかったり、掲示板をそもそも見なかったり。
近年は、街の情報SNSである「ご近所SNS マチマチ | スマホでご近所掲示板」なんてサービスも出てきましたが、まだまだ下火な印象です。
そこで、むしろ街のほうから働きかけるための試みとして、参加オリエンテーションという説明会の開催にいきついたのです。
ポスティング作戦
我々には、明確なねらいがありました。
それは、地域に林立するタワーマンションを、お祭りに結びつけること。
(GooglaMapを下絵に、著者描画)
この図のように、四丁目睦のエリア内にはタワーマンションがいくつも存在します。
スカイツリーの建設に伴うエリア価値の向上が、押上までひと駅であるこの街の開発圧力を高めたのです。
それぞれの戸数を見てみましょう。
(不動産サイト等による概算集計)
1000世帯近くの、まだお祭りとつながっていない(と思われる)方々がいるのです。
ここにアプローチしない手はない。
ちなみに、余所者の我々も、あながち部外者というわけではなく、四年前から高木神社祭礼に関わっているマツリズム代表のほか、
曳舟駅前で定期的な青空市“ヤッチャバ”を主催する方などもチームです。
こんなチラシを作り、集合住宅を中心として、街にポスティングをしました。
ひたすら、ひたすら。
1000枚印刷した、ほんの一枚に対してでも反応があれば、成功だと信じて。
オリエンテーション当日
オリエンテーション当日。
このために借りた地区内の公民館は、大繁盛とはいきませんでしたが、確かな手応えを感じる様子でした。
(四丁目睦によるお祭りの説明)
(独特の"獅子頭"のイメージ演技)
さて、お祭りは今週末の6/2、6/3です。
私は、自分の氏神様のお祭りである天王祭へ参加します。
ですが、高木神社の例大祭も、(おこがましいですが)活性化の兆しが見えてきました。
どうやらオリエンテーションをきっかけに、地域からの新たなお祭り参加が増えてきているらしいのです。
具体的には、貸し半纏30枚くらいを確保する必要があるのだとか。
この先の展開はまだまだ読めませんが、地域に働きかける方法は、工夫次第でまだまだあることを再認識させてくれます。
みなさんの地域のお祭りは、どんなものでしょうか。