no pleasure, no life(旧ブログ名:まちづくり、例えばこんなふうに)

意固地になるほどに"まちづくり"が気になって仕方ない。自分の関わったまちづくりの活動・調査の記録を中心にしつつ、"都市""街の変化"の話題など。 Keyword→まちづくり/都市計画/荒川区町屋/蒲郡/豊橋/三河/谷中

その名は「町屋銀座商隆会」 -「町屋銀座まちづくり?第4回」

これまでは土日の街の様子を見るだけでシャッター街と早合点していましたが、よく考えると商店が土日に休業するのも珍しくないですよね。

というわけで、無事に有休取得できたということで、平日昼間の町屋銀座の様子を見てみることにしました。

 

 

 平日昼下がりの町屋銀座の様子

 

さて、平日の昼間は、営業中のお店が少し増えるかな。。?

 

 

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まったく変わりませんでした。

 

 

そうか。

失礼を恐れず言えば、この町屋銀座通りはもはや商店街としての機能を終えようとしているのでしょうか。

 

古い住宅地図や資料を見ると、かつてこの通りに立地していたのは、豆腐屋さん、自転車屋さん、文房具屋さん、電気屋さんといった日用品の小売業が多かった様子。

規模の経済により競争力の高い大型のスーパーマーケットや家電量販店が台頭し、そうした街の小売店舗が淘汰されるのは無理もありません。

(傍観者としてはこの程度の文量で語り切った気になってしまいますが、実際は店を閉めるまでに様々な思いがあったことでしょう)

 

 

でも、このシリーズの初回のエントリで述べたように、町屋銀座はまだまだ面白くできる可能性を持っている気がするんだよなー。

例えば、この街で面白いポイントも発見できています。

 

 

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このお店「一誠会」さん、業態としては間違いなく電器屋さんなのですが(看板も出てますし)、何やら店内を見るとぜんぜん電気屋さんらしくない。

例えば、普通の電器屋さんであれば家電製品が展示されていそうなものですが、こちらのお店にはそれがほとんど見られないのです。

 

その代わりに、通りから様子が見えるのは体験教室の光景。

お店の真ん中には会議室のようなテーブルとスツールが並べられ、そこではお母様方が何かを学ぶ様子が見られます。

外から覗くだけではこのくらいなのですが、ただの小売専業では厳しいこのご時世、地域の方々に足を運んでもらうための独特の試みということでしょうか。

 

 

また、町屋銀座通りからは離れるのですが、町屋駅前マクドナルドには、70代くらいのお母様方がグループで井戸端会議をする様子が見られました。

しかも四人掛けのテーブルでは足りず、他のところから椅子を集めてくるほど。

単純ですが、地域にちょっとした溜まり場空間が必要とされていることがうかがえるのではないでしょうか。

 

 

その名は「町屋銀座商隆会」

 

今でこそお店がまばらとなってしまったこの商店街ですが、束ねる組織として「町屋銀座商隆会」が昭和20年(終戦の年!)から活動しているそうです。

 

しかし、荒川区商店街連合会編『創立50周年記念 あらかわショップガイド』(平成13年)と同『創立60周年記念 あらかわショップガイド』(平成23年)によれば、

 

平成13年時点で会員数75名、

平成23年時点で会員数58名と、やはり下降を辿っているようです。

 

本日時点で私の目で数えたところ、営業していると思われる店舗数はそれより少なく、多くは築年数の浅い戸建住宅または賃貸住宅となっています。

この地区がまるごと、純粋な住宅になりかわってしまうことも、そう遠くない未来なのかもしれません。

 

同資料によれば、特売デー(4月)と歳末大売り出し(12月)という2回の共同売り出しがあるらしいのですが、これは今も見られるのでしょうか。

 

 

商店街の斜陽化に社会的な課題を感じないこともないのですが、事業主でもない一介の住民としては、単なる都市景観の変化以上に捉えることができないのも事実です。

ないものねだりの、ノスタルジー。

 

しかし、です。

 

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この街に溢れる、シャッターを下ろしたままの看板建築群。 

そこに、この街を面白くできる可能性があるのかと感じてしまうのです。

 

エリアイノベーションアライアンスの木下斉氏は以下のように述べます。

表通りにある物件を閉めたまま放置しているのは、その不動産オーナーの生活に余裕がある証拠です。もし本当に経営的に追い込まれていたら、銀行に全て抵当として取られているはずです。余裕があるからこそ、物件を汚いまま放置しておけるのです。(木下斉『稼ぐまちが地方を変える ー誰も言わなかった10の鉄則』NHK出版新書、2015年)

 

 

 それゆえに、私がこの街に関わりたい背景に、「この街を救いたい」というような救済的な動機はそれほどありません。

かつて住んだこの街へ、ゆくゆくは戻ることを強く視野に入れており、”住もうとする街を面白くしておきたい””関わることが面白そう”という利己的な理由です。

 

だから完全にドライというわけでなく、都市工学を学び始める前から持っていた”地縁のコミュニティがある街”への憧れもまだまだあります。

そんなすべてを、ほしい。 

 

らいおん建築事務所の嶋田洋平氏がその著書名としている、”ほしい暮らしは自分でつくる”という言葉はとてもしっくりきます。

 

ほしい暮らしは自分でつくる ぼくらのリノベーションまちづくり

ほしい暮らしは自分でつくる ぼくらのリノベーションまちづくり

 

 

 

街の様子についてはこれからも考現学的に観察・調査しつつ、

そろそろこの街で事業を仕掛けていくための手法とチームについて考えていかねば。

 

まあ、すべてが手探りで、次に何をすればよいのかもわからないのですけどね。。。

一人相撲もそろそろ潮時な印象です。

 

 

あ、密集事業については、次回記事になりそうですね。