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no pleasure, no life(旧ブログ名:まちづくり、例えばこんなふうに)

意固地になるほどに"まちづくり"が気になって仕方ない。自分の関わったまちづくりの活動・調査の記録を中心にしつつ、"都市""街の変化"の話題など。 Keyword→まちづくり/都市計画/荒川区町屋/蒲郡/豊橋/三河/谷中

地域社会のプレイヤー紹介 第1回「町内会・自治会」前編

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川崎市全町内会連合会パンフレットより)

 

記念すべき第1回では「町内会・自治会」を取り上げます。 

 地域社会を支えるプレイヤーとして、おそらく真っ先に上がるのがこの「町内会・自治会」ではないでしょうか。

しかしその素顔は、意外と知られていないように思います。

 

さて、今回「町内会自治会」としたのは、この団体に、統一的な呼称が存在しないからです。

◯◯町会や◯◯自治会、◯◯振興会、互助会など、本当に様々。

後述しますが、このことは、町内会・自治会を設置するための法律や統一制度が存在しないことに由来しています。今やあらゆる場所において町会・自治会なる団体が存在しているのに、全国的にそれを規定する現行法制度が存在していないということは驚くべきと言わざるをえません。

さらに驚くことに、その多くは近年まで法人格をとらない任意団体に過ぎませんでした(平成3年4月の地方自治法改正により、市長の認可による法人化が可能に)。

法人格を持たないということは、法律行為を行うことが認められないということ。

町内会の名義で町内会館などの不動産所有を行うことができなかったということを意味します。

 

さて、ずっと町内会・自治会というのも煩わしいので、今回は基本的に【町会等】とします。

本日は、地域社会の重要な運営主体であると同時に排他的支配者でもあるこの組織を、できるだけわかりやすく紐解いてみたいと思います。

 

※参考…横浜市市民局「地縁団体の認可(自治会町内会の法人化)の手続き

 

■それは一体何なのか?(仕組みと制度)

 

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横浜市都筑区公式ページより) 

 

 

この、「町会等」を私の言葉で一言で表現するならば、

日常的な対面接触の可能な範囲に居住する世帯全てが会員となる資格があり、会員相互の居住福祉の向上を目的として活動する自治団体

となります。

ちなみに、書籍では

原則として一定の地域的区画において、そこで居住ないし営業するすべての世帯と事業所を組織することをめざし、その地域的区画内に生じるさまざまな(共同の)問題に対処することをとおして、地域を代表しつつ、地域の(共同)管理に当たる住民自治組織

(中田実ほか『地域再生と町内会・自治会』自治体研究社、2012年より)

と定義されています。

 

おそらく日本の9割以上の地域は、なんらかの町会等の圏域に分けられていて、重複することは例外的です。

つまり、ある特定の住所が、「A自治会」と「B町会」のどちらの圏域か悩むということはない。

自分がどの町会等の圏域かということは、客観的な基準によってきわめて自動的に決まるわけです。

自治体によっては、都市計画図などと同様に、「町内会区域図」を頒布・販売しているようなところもあります(台東区など)。

 

さて、その多くに共通する特徴は。 

 

①「入会は自由意志で行なわれ、強制力はない」

もちろん、この運用は地域によってかなり分かれるところではないかと感じます。

以前のエントリ「余所者の自分が町会に乗り込んでみた、弐」でも言及しましたが、集合住宅の居住者が、共益費・管理費を通じて知らないうちに活動費を提供しているというパターンがあるからです。

町会等が自動・強制加入なのか任意加入なのかということは、その存在意義や目的に関わる重大な問題なのですが、ここでは深入りせずに次に進むことにします。

 

②「その範域に居住する全世帯に加入資格がある」

ただただ地縁的なつながりに尽きる、ということです。

しかし、近年のように地域内に集合住宅が多く入ってきた場合、大規模なものであればその集合住宅だけの自治団体ができたり、賃貸住宅ではそもそも加入しない人が多かったり(なのに気づけばお金は払っていたり)と、全世帯加入という原則も不安定となっています。

 

③「活動目的がきわめて総合的=曖昧である」

全世帯に加入資格があるという包摂的性格ゆえに、その活動目的はきわめて総花的なものです。

何か特定の課題を解決するために町会等があるのではないわけです。

 

強調したいのは、“目的が曖昧であること”イコール、“その存在意義・必要性も曖昧である”というわけではないうこと。

 活動内容については次で整理してみます。

 

ちなみに前述した地方自治法では、法人化の認可を行なう「地縁による団体」の要件を、以下のように定めています。

その区域の住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理等③良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的とし、現にその活動を行っていると認められること
その区域が、住民にとって客観的に明らかなものとして定められていること
その区域に住所を有する①②すべての個人は、構成員となることができるものとし、その相当数の者が現に構成員となっていること
規約を定めていること

(①②③は引用者挿入)

 

 

都市部における町会等組織の一般的な形としては、以下のような形でしょう。

 

 地区連合町会 ・・・ 町内会・自治会 ・・・ 班(より小さな地理的単位)

(小学校区程度)            ・・・ 部会(テーマごとの活動を展開)

 

一つの町内会・自治会において、その対象範域をより小さく分けて連絡や活動の単位としたものが「班」と呼ばれます。

 また、町会等の活動はしばしば専門部会に分けられ、ボランティア部会、防災部会、子ども部会といった内部組織が発生します。

 

小学校区程度には複数の町会等が存在するわけですが、それらの連絡調整の場として、地区連合町会という協議の場も用意されます。

 

 

■何をしているのか?(活動領域)

 

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こちらのブログより)

 

 町会等の活動は、その性格によって大きく3つに分けられます(と私は考えています)。

それは、「①会員同士の親睦」「②行政情報の伝達」、そして「③共助による地域環境の向上」です。

 

①会員同士の親睦

まず代表的なのは、年末の餅つきや盆踊り大会といった、日本的な年中行事でしょう。

誰でもが記憶にあるであろう神社祭礼についても一般的に、同じ氏神様を仰ぐ氏子町会が、町内会単位で神輿を担ぎます。
その最たるものが、東京都台東区浅草神社にて行なわれる三社祭でしょう。

 

神社祭礼は明らかな宗教行事なので、町会費から初穂料を出すことの問題点は常に指摘されます。

「領域内すべての世帯に会員資格があるのに、信教の自由に関わることを町会費として平等に負担させてよいのか?」ということですね。

幼少期のこうした御神輿を担ぐ経験、山車を引く経験等が、コミュニティへの帰属意識やアイデンティティ形成に大きく影響するという、教育的効果があるのも確かでしょう。

 

また、伝統や宗教的な性格はありませんが、スポーツ大会や地区の運動会を開催する町会も少なくありません。

そのほか、会員の福利厚生として、子どもの就学記念や成人記念、敬老記念品、慶弔費といった費用を町内会費で負担するという活動も、この領域に含まれるでしょう。

 

こうした取り組みが、一つの町会等の単位であったり、場合によっては連合町会のようなまとまった単位で行なわれます。

催事を通じて町会単位の親睦や帰属意識を深めていくことに主眼があると考えられます。

 

②行政情報の伝達

自治体政府としての行政は、その仕事に公平性が過剰に求められるあまり、きめ細やかさに欠けるということもしばしば指摘されます。

ゆえに、これを補填するために、より住民に近い組織である町会等の力が求められることになります。

 

この方面の活動として、まず挙げられるのが回覧板ですね。 

回覧板の内容としては、町内会活動に関するお知らせ(催事や訃報など)が当然ありますが、自治体からのお知らせ(市・県広報紙や制度・事業紹介など)も同時に入ることが一般的です。

きめ細やかなPRの苦手な行政組織は、このような形で町会等の強力を得て、行政情報を住民の末端まで届けようとするわけです。

 

こうした活動にかかる費用に対しては、世帯徴収の町会費とは別に、行政の補助金が出ていることが一般的です。

 

また、少し別の場合もあります。

特定の地区で行政が事業を行なったり、公共工事を行なうという場合、まず町会等に話を通す(=仁義を切る)ということが当たり前のことになっています。

利害関係のある町会等への事前情報提供というプロセスを飛ばして、行政が何かを行なうということは考えられません。

 

これは、町会等が当該範囲の住民を代表する組織として、事実上その公共性・代表性が認められているためと考えられます。

その範囲内に住む世帯全てに加入の資格があり、また実際に相当数の加入があるからこそのことです。

 

このことを逆に考えると、町会等への加入率が低くなると、その町会等が“地域を代表している”という根拠が弱まる(=代表性の低下)ということになります。

例えば、300世帯が居住する地区の町内に加入しているのが30名程度しかいないとしたら、「町内会の意見=町の意見」とみなすことは無理がありますよね。

 

行政が積極的に「とりあえずみなさん町会・自治会に入ってください!」とアナウンスするのもうなずけます。  

でも、その活動内容について精査することなく、ただ町会等として存在しているというだけでこのようなキャンペーンを行政が張るのは、かなり違和感もありませんか?

 

町会等は住民自治の自発的組織というのが建て前。制度上は設置の義務は全くありません。なのに、それに加入すること(だけ)を強く薦める行政。

既得権益の無条件肯定のような気がするわけです。

 

さらに、どれだけ行政がキャンペーンしようとも、単身若年層にとっては自らが加入したところで、高齢者と子育て世帯に対する福祉がその活動の中心にある町会等において、会費負担に見合った果実を得ることはできないと考えるのが自然です。

入会のインセンティブがないのも当たり前ですよね。。。

 

③共助による居住環境の向上

当該地域における、課題を解決するための活動。

一人で取組むのは困難だけど、地域の力で取組んでいこうというスタンスのもの。

 

防災訓練や防犯パトロール(火の用心なども)、清掃活動といったものが挙げられるでしょう。

特に防災分野に関しては、町内会の防災部会を、災害対策基本法に位置づけのある『自主防災組織』とし、3・11後の地域安全の実現に向けて積極的に活動しているようです。

これらについても会員同士の親睦という効果もあるのでしょうが、より本質的な目的は「助け合いによる課題解決・良好な地域環境の創出」であるという点に違いがあります。

 要は、「わたしたちのまちはわたしたちで運営していきましょう」というもの。

 

関連して、(意外かもしれませんが)夜道を照らす街路灯の管理・料金支払いは、町会等が負担していることが多いです。

 

この分野は、活動に参加しない(=負担をしない)非会員でも、ただ乗りすることが容易な分野であるとも言えます。

 

 

以上、町会等の一般的仕組みと、その活動領域について簡単にみてみました。

 次回はその一般的課題と、私が住む地域の町会(明津町内会)を事例に取り上げて考えてみたいと思います。

 

 

参考

中川剛『町内会 日本人の自治感覚』中公新書、1980年

 

・中田実・山崎丈夫・小木曽洋司『増補版 地域再生と町内会・自治会』自治体研究社、2012年 

地域再生と町内会・自治会

地域再生と町内会・自治会

 

 

横浜市平成24年度 自治会町内会・地区連合町内会アンケート調査報告書