no pleasure, no life(旧ブログ名:まちづくり、例えばこんなふうに)

意固地になるほどに"まちづくり"が気になって仕方ない。自分の関わったまちづくりの活動・調査の記録を中心にしつつ、"都市""街の変化"の話題など。 Keyword→まちづくり/都市計画/荒川区町屋/蒲郡/豊橋/三河/谷中

モヤモヤさまぁ〜ずに出てた「株式会社ROOM810」さんに突撃して町屋トークしてきた話の後編「TOKYO L.O.C.A.Lプロジェクトとは」

こちらの続きです。

ROOM810さんの、街をワクワクさせるような取り組みについて。

phantom-gon.hatenadiary.com

 

 

TOKYO L.O.C.A.L プロジェクト

先に申し上げると、ROOM810さんのこれまでの事業とか会社説明的なお話はほとんどしていません。笑

ただただ町屋の街に対する偏愛なお話と、町屋及び荒川区を活性化させる「TOKYO L.O.C.A.L」プロジェクトに関するお話がメインでした。

これが楽しかった。ホントに楽しかったのです。

 

TOKYO L.O.C.A.L プロジェクトとは?

ROOM810さんの掲げるTOKYO L.O.C.A.Lプロジェクトを一言で表すと、
「東京で一番ローカルな街である荒川区を盛り上げるため、住む人・働く人・来る人・繋がりを増やす」一連の活動となります。

 f:id:phantom_gon:20170306195643j:image

 

"東京で一番ローカル"という表現には、おそらく昼夜間人口比率の低さが念頭に置かれています。

そういえば、荒川区地域メディアである荒川102でも、同様の言及がありますね。

東京でもっとも昼夜の人口比の少ない区、あらかわ。

荒川102サイトより)

昼夜間人口比率の低さは、通勤通学による自治体からの流入者の低さ自治体への流出者の多さが要因となります。

言い換えれば、区内には昼間過ごす場所=働く場所・学ぶ場所が少ないということですね。

ベッドタウン的な性格が強いということ。

 

しかしこの事実こそアイデンティティとし、カウンター的な発想により街を盛り上げていこう、という気概をお持ちです。

要は、「昼夜間人口比率が低い街。。。」と表現するのはネガティブに感じますが、「東京で一番ローカルな街!!」と表現すればポジティブな印象ですよね。

ポジティブなところに人は集まるのです。

 

盛り上げるための4ルート

では、いかに街を盛り上げていくのでしょうか。

そして、盛り上げるとはどういうことでしょうか。

 

それがこちらに表現されています。

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住む人を増やし、働く人を増やし、来る人を増やし、繋がりを増やすこと。 

 

どうやって?

デザインの力をもって。

 

製造業×デザインの可能性

荒川区はモノづくりが盛んです。

区役所でも、モノづくり産業を前面に押し出した施策をいくつも実施しています。

仕事・産業 荒川区公式ホームページ

 

ただ、いくら優れた技術があろうと、その魅力を効果的な方法でアピールできなければ、収益を上げることはできません。

 

ROOM810の方の表現を借ります。

 

例えば優れた金属加工の技術を持った工場と職人さんがいたとしましょう。

それまでは製造用機械の部品を集中的に作っていたけど、これからはそれだけでは食っていけない、、、そうだ、アクセサリーも作ってみよう!...と考えたとする。

そんな彼らが製作を開始した、薄く軽く、それでいて頑丈な、機能性については申し分ないバングルが、果たしてすぐに売れるでしょうか。

もちろん、答えはでしょう。

"下町の職人が作った機能性の高いアクセサリー"という事実だけでは、人の心にリーチしないわけです。

 

でも、そこにデザインの力を最大限に活用すれば?

ROOM810さんは、そのためのソリューションとなる「デザイン思考」を持っています。

 

具体例を見てみましょう。

例えばROOM810さんは、定期的に絵ハガキを作成してお客様に送るという習慣があるのですが、2015年春の絵ハガキがこちらです。

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町屋の街をイラストでまとめた地図、 「MAD CITY MACHIYA」。

魅力を紹介するために必要な数多の言葉や写真よりも、もっとずっと単純に視覚的に直感的に、「行ってみたいな」「面白そうだな」と思わせる力を確かに感じます。

 

彼らはそんなデザインの力を、地元製造業を始めとする地場産業活性化させるツールとして使いたいと考えているわけです。

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(デザインの力で街を活性化する)

 

もちろんROOM810さんも私企業なので、慈善事業をしているわけではありません。

それでも、拠点としている町屋や荒川区の街を盛り上げたいというマインドには、紛れもなく公共的なものがあると感じます。

 

「千代の湯」の廃業とONE HEART SHOWER

TOKYO L.O.C.A.Lプロジェクトの中で、象徴的な活動があります。

それは、廃業してしまった銭湯を惜しんでの、「ONE HEART SHOWER vol.20」です。

 

ONE HEART SHOWERというイベント自体は、東北復興支援のために定期開催しているパーティです。

皆さんがお酒を飲んでくれたその収益金を貯めて、ROOM810が定期的に東日本大震災の被災地へ行き、 被災地の方が無償で楽しめるイベント(居酒屋・駄菓子屋・炊き出し・ライブなど)を実施しています。

(ROOM810公式サイトより)

そのONE HEART SHOWERを、ここで行ったのです。

こちらのサイトより)

 

町屋一丁目に「千代の湯」という銭湯がありました。

浴室付き住戸があまりに一般的となった今、公衆浴場が生き残ることは難しくなってきています。

でも、本来の目的である公衆衛生的な機能だけではなく、コミュニティを温めるサロン的空間という役割も銭湯はずっと担ってきており、今後ますます希薄化が進む地域社会にとって重要性を有する施設であるとも言えるわけです。

 

千代の湯は廃業を決めてしまいましたが、それを惜しんだROOM810のみなさんは、

「ここにこんな素晴らしい場所があった」

という記憶を広く焼き付けてもらうため、ONE HEART SHOWERを千代の湯で実施したのです。

それが2014年11月のこと。

 

そして千代の湯は一夜限りではありますが、再び人々の集う場となりました。

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 (当日の様子)

 

また、その縁が繋がって、「千代の湯最後の営業」というキャンペーンもされたようです。

自動代替テキストはありません。

 

ROOM810さんの強い関心は地域にあり、そして実際に信頼を得つつあることがうかがえるエピソードです。

 

繋がりの拠点「TOKYO L.O.C.A.L LOUNGE」

ROOM810さんが決定的に魅力的なのは、こうした活動もさることながら、文字通りの拠点を持っていることです。

それが本社屋3階のスペース「TOKYO L.O.C.A.L LOUNGE」です。

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ここは前述のONE HEART SHOWER他、ROOM810さんの主催イベントの会場として使われるほか、MVや写真撮影のスタジオとしても使われています。

 

そしてここからが重要なのですが、交渉次第では地域への開放も想定されています。

時間貸しの完全なレンタルスペースというわけではありませんが、地域貢献の高い使い方であれば貸し出すという考え方のようです。

 

私はこのTOKYO L.O.C.A.L LOUNGEの使い方こそが、町屋を盛り上げるキーになりうるんじゃないかなと思っています。

 

妄想が広がる。

広がる広がる。

 

イメージする存在感はこんな感じ。

sooo-dramatic.com

 

まちづくり系の情報サイトかつNPO法人「マチノコト」は定期的に、"オープンダイアローグという"講演会+相互交流のようなイベントを土日の午前中に開催しています。

場所を認知してもらうついでに、地域の面白い人が集まってくるかもしれない。

machinokoto.net

 

似た試みですが、やや学術寄りなテイスト。

fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp

 

他にはこんな使い方も。

"町屋の未来を考える"とか銘打って、街の人たちを集めてディスカッション→アクションに向かう場所なんてのも面白いのかもしれません。

twipla.jp

 

こちらもやや似たものですが、コンテスト形式。

kichijoji.keizai.biz

 

私が一人でブレストするとこんなカタい感じになりますが、もっと柔軟なネタも数え切れないほどあるでしょうなー。

 

ROOM810×自分=?

さて、ここまで町屋の会社ROOM810さんについて、そのTOKYO L.O.C.A.Lプロジェクトを中心に紹介してきました。

正直言って何も持たない私が、ROOM810さんと連携することで何ができるのかはきわめて未知数なわけですが、控えめに言っても、これからの荒川区町屋ライフが面白くなることを200%確信したわけです。

 

興奮冷めやらぬ感じです。。。