谷中を縦断する3街路とその変化〜序 谷中プロジェクトスクールの向かうなんとなくの方向〜
(谷中地区、高台にある初音の道の光景)
今回は、東京文化資源会議の谷中プロジェクトスクールで関わっている谷中地区について。
プロジェクトスクール「まちの作戦会議」についての経緯と、個人的プレスタディである銭湯現況調査についてはこちらの記事をどうぞ。
プロジェクトスクールでは、「A班 都市計画道路」「B班 大規模敷地」「C班 寺院」「D班 小さなもののネットワーク」「E班 情報の共有・発信」といった小テーマに分かれてのワーキングが行われています。
ですが、メンバーの半数程度が実務者となっており、短期間でゴリゴリと集中的に進める、学生の設計演習のようにはいかないのが難しいところ。
そのうえ3月までという期限付きのプロジェクトであることから、既に最終成果物の形を考えての活動とせざるをえません。
住民の方々が区に対して”こんなまちになってほしい”というまちのビジョンを提案するためにはまず、”みんなの意見”が一定程度の地域代表性を持つようにする必要があります。
しかし、実際はまちに住む各人の共通の意見が最初から存在するわけではなく、住民同士の議論を重ねることでみんなの意見を”見つける”か、または”作り上げる”必要があります。
我々は、建築や都市計画の専門的素養を少し持つ余所者として、”この地域にはこんなよいものがありますよ””この地域にはこんな変化が起こり得ますよ”という、議論のための材料を提示することが役割となります。もちろん最終的な決定権は持ちません。
A班B班の活動成果物の方向性は、「地区主要街路沿道の開発スタディとそのコントロール」ということになり、エリア内の主要3街道の沿道にある仮想敷地について、可能性のある開発規模等をスタディし、提示します。
視覚的なイメージを提示した後でその次段階として、防いだりそれをコントロールするための制度的な手法、ルールづくり、まちの文脈・遺伝子を引きついたようなデザイン的な手法(デザインコードルールブックなど)を提案するところまで持っていけるのではないかと思います。
その他、これまで谷中地区では上野桜木地区や三崎坂中腹などで実際に行われてきたマンション開発とそれに対する住民の交渉活動を紐解いて改めて整理し、意義を再強調するようなことも計画しています。
これも、今後起こり得る同様の開発と既存住民の関係性を考えるための材料となるのではないかと考えています。
(よみせ通り中盤にあるノコギリ屋根の工場跡地では、現在9階建の集合住宅が計画されている)
前置きが長くなりましたが、そんな谷中地区を縦断する山頂、中腹、谷底の3街路である、
初音の道(山頂の道)
六阿弥陀道(中腹の道)
よみせ通り(谷底の道)
について、その現況を紹介していけたらと思います。
内容については、次の記事から。
(上野桜木あたり。1938年築の3軒家が、複合施設として2015年にリニューアル)